観光庁がこのほど発表した宿泊旅行統計調査の結果で、2012年の外国人を含む年間延べ宿泊者数(確定値)は4億3950万人泊となり、11年に比べて5.3%の増加、10年に比べて3.2%の増加となった。全国的には東日本大震災前の水準に回復した。ただ、東北や北関東では、観光客を中心とする宿泊施設に限ると、震災前の水準を大幅に下回っている地域が多かった。
観光、ビジネスなど宿泊目的を問わず、旅館、ホテル、簡易宿所などに調査し、全体を推計している。10年第2四半期からは調査対象を従業員数10人未満の施設にも拡充した。それまでは10人以上の施設が対象だった。過去との比較は、11年比は10人未満の施設を含む数値、10年比は10人以上の施設の数値を使用している。
12年の延べ宿泊者数が震災発生前の10年の数値を下回ったのは15県。このうち減少率が2桁だったのは、10.6%減の栃木県、12.7%減の奈良県、10.2%減の高知県。奈良県は平城遷都1300年祭の反動、高知県はNHK大河ドラマの集客効果の反動があるとみられる。
東北6県の12年の延べ宿泊者数は10年と比較すると3.3%の増加だったが、震災復興関係のビジネス需要による上積みがあり、観光需要は依然厳しい状況だったとみられる。観光客を中心とする宿泊施設(観光目的の宿泊者が50%以上)に限ると東北6県で14.9%の減少となり、県別では岩手県が0.1%増だったほかは、福島県が27.0%減、秋田県が26.9%減、宮城県が11.2%減、山形県が11.2%減、青森県が1.3%減だった。
北関東(茨城、栃木、群馬の3県)の延べ宿泊者数は、10年比で4.1%の減少。観光客を中心とする宿泊施設に限ると11.8%の減少となり、県別では茨城県が25.6%減、栃木県が15.9%減、群馬県が3.1%減だった。特に茨城県、栃木県は下げ幅が大きかった。
一方で、全国累計の延べ宿泊者数のうち外国人は2631万人泊で、11年比42.9%増、10年比8.5%減となった。宿泊者全体に占める外国人の割合は6.0%。10年の数値を上回ったのは西日本を中心とする15府県。東北各県は30〜60%台のマイナスだった。